解説
丸に三引両は、家紋の引両(ひきりょう)紋というカテゴリに属します。引両は太い横線を一条ないし三条引いた家紋のこと[文献1]。
足利氏の紋は二引両で、尊氏がを天下を取ったこともあり、引両の両(りょう)を龍(りょう)に掛けて二匹の龍が互いに絡み合って天に登るという、お目出度い紋と解する人もいます。
しかし引両の由来は、野戦の陣幕が白黒に張られていたところから来るもの。現代においては、お祝い事に用いる紅白の幕があり、その幕を白黒にすれば引両紋になります[文献2]。
吉川元春は毛利元就の次男で、弟に小早川隆景。父・元就の中国制覇の野望により、元春は吉川興経(おきつね)の養子になりました。丸に三引両の紋は、足利氏の一門である管領・細川勝元に仕えていた吉川興経の父・経基(のりもと)が応仁の乱の戦功で賜ったものと言われています[文献3]。
参考文献
- 新村出 (著, 編集) 『広辞苑 第六版 (普通版)
』(岩波書店、2008年)
- 丹羽基二『家紋逸話事典
』(立風書房、1995年)
- 奈良本辰也 (監修)『戦国武将ものしり事典
』(主婦と生活社、2000年)参照