解説
加藤清正の蛇の目紋は、その名の通りヘビの目をかたどっています。清正の現存する長烏帽子形の兜には金箔押しの蛇の目紋がついています。
蛇は十二支の一。古くから人間に恐れられてきた反面、神の使いや大地の主として崇められ、常陸風土記や雄略紀など日本の神話などにも多々登場します。
民俗学者・吉野裕子『蛇』(講談社、1999年)において、蛇の目に関して重要な考察をしているので下記にご紹介します。
"蛇の目はマブタがないため、その目は常時、開き放しで、まばたくということがない。この「マバタキ」のないことは蛇の目の特徴で、他の爬虫類にはみられないのである。そこでこの「マバタキ」のない蛇の目に出逢うと、人間はじっと蛇から睨みつけられているように思う。その結果、蛇の目は特に「光るもの」として受け取られ、古代日本人の感覚に対して、蛇の目は非常に訴えるものがあったのである。"
…かくして文禄・慶長の役においての主戦派先鋒・清正にとっても非常に訴えるものがあったのでしょう。家紋に隠された意味においても、小西行長に負けてない。
さて清正の正式な紋は、祖父が土岐氏から下賜された桔梗紋で、蛇の目紋は裏紋。衣服や調度品には桔梗紋を、武具の類は蛇の目を使う場合が多かったようです。
加藤清正
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