解説
小西行長の家紋は、祇園守(ぎおんまもり)紋のカテゴリに属します。また行長の紋は、糸車とも中結祇園守(なかむすび-ぎおんまもり)とも言われてます。
ちなみに立花宗茂も、小西のものとは細部が違う祇園守紋を使用。洗練されたデザインですが、盟友
石田三成の大一大万大吉と並んで、何じゃこりゃ?と首をかしげたくなります。
祇園守紋は京都の八坂神社が出すお守札をデザインしたものですが、実態は謎に満ちています。家紋研究家の丹羽基二氏が著作[註]の中で、八坂神社へ実際に行って札所で祇園守紋について尋ねてみた時のエピソードは右の通り。「ゴズ天王の頭の飾りだそうですが…」「ゴズ天王ってなんですか」「それがまずわからない」
「わからない」という札所が家紋より謎ですが、恐らく牛頭天王(ごずてんのう)のことで、人々が恐れる疫病をもたらす神とされます。
しかし牛頭天王を祀れば疫病を免れると信じられ、疫病が発症しやすい夏場(旧六月中旬)に祭りが行われきました。一般にこれを天王祭りといい、また牛頭天王は京都の祇園社(八坂神社)の祭神である関係から祇園祭りと呼んでいる土地も多いです。
ところで祇園守紋が "隠れキリシタンの紋" だと聴けばどうでしょう? 真ん中の交差する巻物のようなものを十字架に見立てています。
どうでもいいか! というのもキリシタン大名・行長は、文禄の役先鋒で韓流時代劇『不滅の李舜臣』にも登場。韓国では祇園守紋より軍旗の方が知られているような気がしますので。理由になっていないか!
小西行長
補註
- 丹羽基二『家紋逸話事典』(立風書房、1995年)66-67頁
- 福田アジオ 他『知っておきたい日本の年中行事事典』(吉川弘文館、2012年)「六月 5.天王祭り」103頁
ご利用について
フリー素材のご利用規約をご参照ください。