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文禄・慶長の役

文禄・慶長の役とは

基本データ

合戦名 期間 場所 動員兵数 動員兵数内訳(人)
文禄・慶長の役 1592年4月~98年11月 7年 朝鮮全土と周辺の海 665,000人 日本軍文禄200,000・慶長150,000、朝鮮軍文禄慶長計120,000[註1]、明軍文禄48,000・慶長147,000
参考:関ヶ原の戦いは期間半日で東西軍165,000人、大坂の冬の陣・夏の陣は期間半年で東西軍500,000人。

概要

「暴力は沈黙である。」

と、ジョルジュ・バタイユ(フランスの哲学者,1897-1962)は著書『エロティシズム (ちくま学芸文庫) 』の中で言いました。「暴力は饒舌に語ることができない」とも――

文禄慶長の役とは、豊臣秀吉豊臣秀吉の明国制圧の野望により日本軍が文禄元年(1592)慶長二年(1597)の二度、年数にして七年の間に朝鮮・明連合軍と朝鮮全土とその周辺の海で繰り広げた大戦争です。

韓国では干支により壬辰倭乱(じんしん-わらん)・丁酉再乱(ていゆう-さいらん)、中国では元号により万暦朝鮮役と呼ばれています。

この戦争によって朝鮮全土は戦火に巻き込まれ飢餓地獄となり、日本兵の手柄の証拠に朝鮮の一般民衆まで耳と鼻を切られました。これ以上はここでは筆舌尽くしがたくバタイユが指摘した通り割愛[註2]。

朝鮮に援軍を送ったは、戦費八〇〇万両を支出し国庫が窮乏。また日本軍にかかずらって早くから新興勢力・女真族の勢力を抑え込むことができずに滅亡しました。

日本は、侍だけでなく百姓も動員。徴兵した百姓を朝から晩まで城普請の材木採りに駆り立て、その労役を怠ったり、逃走する者あらば首枷をかけ焼金(火印)をあてる、またはその首を斬るという過酷さでした。

文禄・慶長の役を無視するということは、朝鮮・明はもとより日本の多くの百姓たちの被害をも無視すること――それは私たちにして二重の被害を受けていると言えるでしょう。

戦後の韓流ブーム

朝鮮から日本に連行された捕虜は二万~三万人。多くは日本に土着し、徴兵のため人手不足に陥り疲弊した西国の農村の労働力となりました。

この中のうち陶工は、新技術を伝え日本の焼き物文化は発展しましたが、逆に朝鮮の焼き物文化が衰退の危機に陥りました。

また、朝鮮から盗んできた多数の漢籍や美術品、銅活字の輸入によって印刷技術の発展など文化的な影響も少なくありません。

一方、将軍・徳川家康徳川家康、対馬藩の宗義智宗義智及び外交僧・景轍玄蘇らの尽力があって日朝の国交が回復し、江戸時代に一二回に渡り朝鮮通信使が来日しました。

通信使一行は一回に四〇〇名ほどで編成され、その中には音楽隊・学者・芸術家・技術者なども含まれていました。そのため、通信使は外交使節だけでなく文化使節の役割も持ち併せていました。

江戸時代の歌舞伎のエキゾチックな世界観などは、韓流ブームの先駆けとも言えます。

  

関連トピック

補註

註1:朝鮮軍の動員兵数は不明なのですが、筆者は多くて日本軍の三分の一程度と推測します。日本軍と合戦において、ほとんどの場合、朝鮮軍(官軍+義兵)は兵数が劣ります。そのため明軍との連合になると悲しいほど存在感が薄いのです。(だからといって朝鮮軍が弱いわけではないので注意されたい。)

李朝の人口は『世界の歴史 (12) 明清と李朝の時代 』によると400万から1,200万まで増加。文禄・慶長の役の頃の李朝の人口を仮に600万として、女性や子供・お年寄りを引いて逆算しても、朝鮮軍120,000人はピッタリではないにしても大きくズレてはいないと思います。

註2:詳細については、意に反して朝鮮に渡った医僧・慶念によるルポ・朝鮮日々記研究会 編集『朝鮮日々記を読む―真宗僧が見た秀吉の朝鮮侵略 』(法蔵館、2000年)を参照のこと。

文禄・慶長の役

相関図

朝鮮・明連合軍文禄の役 日本軍慶長の役 日本軍

概要

文禄・慶長の役とは

地図

東アジア各国関係図朝鮮八道色分け地図文禄の役 日本軍進路

慶長の役 日本軍進路図倭城とは 分布図と一覧合戦地図

年表

文禄の役 略年表慶長の役 略年表

朝鮮国

朝鮮の官制その1 京官その2 外官-陸軍・水軍、地方行政朝鮮王朝の党争

明国

明の官位相当表

日本国

文禄年間 全国の諸大名配置図九州中国・四国近畿東海・北陸東日本

慶長前期 全国の諸大名配置図村上水軍とは 前編後編

戦後

日朝国交回復年表

朝鮮国 人物

王室:宣祖光海君/朝廷:柳成龍金誠一/陸軍:権慄金時敏沙也可

水軍:李舜臣李舜臣元均/義兵将:郭再祐/学者:姜沆

明国 人物

万暦帝沈惟敬李如松楊鎬陳璘

参考文献

永原慶二編『日本歴史大事典 (3) 』(小学館、2001年)

北島万次『豊臣秀吉の朝鮮侵略 (日本歴史叢書) 』(吉川弘文館、1995年)

上垣外 憲一『空虚なる出兵―秀吉の文禄・慶長の役 (Fukutake Books) 』(福武書店、1989年)

石渡 延男 (監訳), 三橋 広夫 (共訳)『入門韓国の歴史 (世界の教科書シリーズ) 』(明石書店、1998年)