書籍情報
- 著者:上垣外憲一
- 出版社:講談社、2002年
- 概要:文禄・慶長の役が始まった理由から戦後のことまで、心の問題として易しく解説した入門書。
紹介文
上垣外憲一(かみがいと-けんいち)先生は、朝鮮のことに詳しい比較文学者。
文禄・慶長の役の最大の謎というは、コイツの動機というより、どうして誰も太閤を止められなかったんだ、ってことに尽きます。私としては。
これだけの武将が揃って誰も止められなかったというのは、事実として逆に非常に重たいものがあります。かくしてこの最大の謎に、本書が前野家文書やルイス・フロイスの『日本史』などから紐解いています。
最大の謎だけにあって、碩学でないと書けないと思いますし、またこのことについて本書以上に真正面から向き合っている本も未だ邂逅能わず。もとより戦争中、戦後のことまで、平易な言葉で簡潔に解説しているので、文禄・慶長の役の入門書としてもお薦めです。
また本書の魅力は、上垣外先生の朝鮮の人々や日本人に対する厳しくも温かい眼差し。則ち本役に対して、そのような眼差しに飢えている人にとっても癒しになると思います。先生の視点から見る、蔭ながら当時和平に向けて奔走した小西行長や
宗義智、
藤原惺窩などの日本人の活躍もお見逃しなく!