解説
火縄(ひなわ)とは、竹・ヒノキの皮などの繊維で縄をつくり、硝石(しょうせき)を吸収させたもので、火をつけるのに使います。
火縄銃(ひなわじゅう)は、火縄で点火して発射した銃で、一五世紀ころヨーロッパで発明されました。天文一二年(1543)種子島にポルトガル人が漂着して日本に鉄砲が伝わったといいます。
しかしヨーロッパ型は銃身を棒で支え肩に当てて撃ち、頬に当てる日本のものとは異なります。則ち倭寇が火薬原料の硝石や硫黄を交易品として扱い、これと一緒に日本へ伝来したと考えられます。
その後、国内での生産が堺や近江の国友なので行われ、急速に戦場に普及。鉄砲の重要性が増し、その数や用い方で勝敗が左右されるほどになりました。
かくして天正三年(1575)の長篠の戦い。織田信長・
徳川家康連合軍が鉄砲三〇〇〇丁を三隊に分け、
武田勝頼軍に向けて一斉射撃。したと言われていますが実際は、鉄砲一〇〇〇丁の二隊編成と推定されます。
また武将のシンボルは鉄砲ではなく、あくまで刀であり続けました。イラストは様々な資料を参考にして火縄銃として描き下ろしました。
参考文献
- 笹間良彦(監修)棟方武城(執筆)『すぐわかる 日本の甲冑・武具』(東京美術、2012年)78-79頁、96-97頁
- 笹間良彦 編著『資料 日本歴史図録』(柏書房、1992年)225頁