解説
戦国時代の戦いでは、刀や槍、弓、石などが使われました。
まず敵に石を投げる投石・礫(つぶて)、弓を射ち、槍・刀の順に使用したようです。鉄砲が利用され始めると弓と同時に使っていましたが、兵器の中心は「槍」でした。
弓は、平安から鎌倉時代にかけては馬上から、南北朝時代になると徒歩武者が射るようになりました。理由は、山城での籠城戦・山岳戦によるゲリラ戦や奇襲、待ち伏せなどによる戦いが増えた、あるいは弓の改良により遠くへ射ることが可能になり、より正確に射るには徒歩の方が都合がよい、などが考えられます。
かくして室町時代は徒歩戦が主力となり、太刀は南北朝時代に比較してやや短いものが使われました。
矢入用具の弓台(ゆみだい)は、弓を立てておく台で、矢と共に主に文献3を参考にして描きました。
文禄・慶長の役の有事や外出などで朝鮮官吏が戒服を身に着ける際に、矢と弓を入れた茼箇(トンゲ)を肩に掛けます。よって当イラストと形態が全く違います。
参考文献
- 奈良本辰也 監修『戦国武将ものしり事典』(主婦と生活社、2000年)「馬から鉄砲まで軍備アラカルト」20頁
- 笹間良彦(監修)棟方武城(執筆)『すぐわかる 日本の甲冑・武具』(東京美術、2012年)「第四章 南北朝・室町時代」60頁
- 笹間良彦 編著『資料 日本歴史図録』(柏書房、1992年)221-225頁