目次
フリーイラスト PNG形式/背景透過
朝鮮王朝 国王

解説
袞龍袍(コルリョンポ)

李氏朝鮮時代の国王(ワン/왕)は、臣下と国政を論じ執務をとるとき常服(サンボク/상복)として、紺色の裏を打った深紅の袞龍袍(コルリョンポ/곤룡포)を着用します。
補(ポ)
補(ポ/보)と言って、紺色の裏を打った深紅の袞龍袍の胸・背・両肩の四か所に金の糸で刺繍した四爪龍補(サジョリョンポ)を付けました。
襟(キッ)
襟(キッ/깃)は、曲領(コンニョン)といって丸みを帯びた形です。
ボタン(タンチュ)
右肩でボタン(단추/タンチュ)をはめて固定。
オッコルム
左胸のあたりに付いている大きなリボンは、オッコルム(옷고름)と言います。直訳すると服(オッ/옷)の紐(コルム/고름)です。
オッコルムは前身頃を合わせ止めるために、両衽の胸のあたりに付ける二本の紐で、一七世紀粛宗の代あたりには、官服にも用いられました。普通、服と同色の布を用いります。
玉帯(オクテ)
玉で飾った帯の玉帯(オクテ/옥대)は、角帯(カクテ/각대)の一つ。玉帯は龍紋が透かし彫りされています。脇の下にある輪を通して胸元で締め、後ろは腰に垂れるように締めます。
靴
黒の鹿皮靴を履きます。
翼善冠(イクソングァン)
国王が袞龍袍を着用する際には、翼善冠(イクソングァン/익선관)を被ります。帽子の前後二段の段差をつけ後ろを高くし、後頭部には蝉の羽形の飾りが上向きに付いています。帽頂の中央には青糸弁(チョンサビョン)が後ろ面まで伸びています。翼善冠に対して、官吏が被った冠は紗帽(サモ/사모)と言います。
貫子(クワンジャ)
朝鮮のヘアバンドこと網巾(マンゴン/망건)に付いている小さな環を貫子(クワンジャ/관자)と言います。その素材により官吏階級を表します。
根拠
朝鮮国王の服装は、隣国日本から見ると随分ヘンテコな印象を受けるかもしれません。
中国の古典『礼記』玉藻に「天子は大祭に玉藻(ぎょくそう/玉飾りの付いた王冠)と袞竜(こんりょう)の服を着る」、『論語』郷党に「君子は(朝服の色である)紅と紫で普段着を作らない、喪に服する時のほかは、いかなる場合にも玉を帯に佩(お)びる」とあります。
朝鮮王朝は、中国をお手本としていることが服装からもわかります。然しながら中国の全くのカーボンコピーというわけでもなく皇帝、そして我が国天子様のファッションとの共通点や違いが面白いです。
参考文献
- 張淑煥(監修・著) 原田美佳 他(著・訳)『朝鮮王朝の衣装と装身具
』(淡交社、2007年)
- 金英淑 (編著) 中村克哉 (訳)『韓国服飾文化事典
』(東方出版、2008年)
- 竹内照夫訳「礼記」『中国古典文学大系 (3)
』(平凡社、1970年)
- 平岡武夫著、宇野精一・平岡武夫編集『全釈漢文大系〈1〉論語 (1980年)
』(集英社、1980年)