解説
1.概要
朝鮮王朝の官吏たちが冠服着用時に締めた帯を角帯(カクテ,각대)と呼びます。平たくいうと朝鮮王朝のベルトで、階級により絞める帯が異なります。
王族が占める角帯は玉帯(オクテ,옥대)、官吏が締める角帯は品帯(プムデ,품대)と呼びます。
帯の長さは、胸囲より長く120cmほど、幅5cmほど。締め方は官服(クァンボク,관복)の脇の下にある輪に通して胸元で締め、後ろは腰に垂れるようにします。実用性より装飾性に重きを置いています。
庶民も婚礼時には新郎が角帯を絞めました。
2.歴史
角帯は新羅(신라,シルラ)時代に既に制度化されていましたが、初めは布帯で、絹帯、革帯と発展して、玉帯など金属加工を施した帯を締めるようになりました。高麗時代には階級による区別が制度化されました。
琉球王国は朝鮮同様に中国と冊封関係であるので、皇帝より冊封使来琉によって琉球国王は、石帯と呼ばれるイラストとわりとよく似たベルトを賜り現存しています[文献3]。
朝鮮王朝では下の表のように装飾板(ティドン,띠돈)の素材により角帯が使い分けられました。
3.官服角帯品階表
出典『経国大典』(1484年完成)
角帯 | 品階 | 種類 | 詳細 |
---|---|---|---|
玉帯 | 王族 | - | 国王の玉帯は龍紋透かし彫り。 |
品帯 | 一品 | 犀帯(ソデ) | 中国産の犀(サイ)の角の飾りが付く。 |
〃 | 正二品 | 鈒金帯(サプクムデ) | 銅に金泥を塗り、花鳥文などを彫る。 |
〃 | 従二品 | 素金帯(ソプクムデ) | 文様なし。 |
〃 | 正三品 | 鈒銀帯(サプウンデ) | 装飾板(ティドン)に文様を彫る。 |
〃 | 従三品 | 素銀帯(ソプウンデ) | 文様なし。 |
〃 | 四品 | 〃 | 〃 |
〃 | 五~九品 | 黒角帯(フクカクテ) | 装飾板の色が黒。 |
胸背が時代ごと混乱が見られたので、角帯が実際に規則通り行っていたのかは甚だ疑問ですが、角帯も貫子も階級ごとに細かく区分されて面白いです。
参考文献
- 金英淑(編著)・中村克哉(訳)『韓国服飾文化事典』(東方出版、2008年)
- 張張淑煥(監修・著)・原田美佳 他(著・訳)『朝鮮王朝の衣装と装身具』(淡交社、2007年)
- 高良倉吉・田名真之[編]『図説 琉球王国(ふくろうの本)』(河出書房新社、1993)24頁:石帯 尚裕氏個人蔵