解説
兵符(ピョンブ,병부)は、朝鮮時代に軍隊動員の際に使われた丸い木牌(もくはい)で、正式には発兵符(パルピョンブ)と言います。
直径7cm、厚さ1cmほど。片面の中央に「發兵」のニ文字が、別の面には該当する観察使(クァンチャルサ:知事)や節度使(チョルトサ:武官長)の称号が書かれ、その真ん中を割って右側は軍の責任者に渡し、左側は国王が保管しました。
有事の際には、国王の教書(書簡)とともにその片方を送り、地方の指揮官は二枚合わせてそれが王命であることを確認して軍隊を発動したといいます。
兵符は白や黄色の細長い布に取り付けて、武官の制服である具軍服(クグンボク)の帯(戦帯:チョンデ)に下げました。
韓国時代劇では頭にかぶる戦笠の華やかさなどに目を奪われがちですが、兵符を下げている人を見つけたら、その人は軍司令官。シンプルながらも義や礼を重んじるお国柄を感じられるアイテムです。
参考文献
- 金英淑(編著)・中村克哉(訳)『韓国服飾文化事典』(東方出版、2008年)