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朝鮮王朝 武官/堂上官・正三品以上

解説
具軍服

朝鮮王朝武官の軍服の一つに、具軍服(クグンボク,구군복)があります。
捕盗大将(ポドテジャン/警視総監 従二品)、兵馬節度使(ピョンマ チョルトサ/陸軍将 従二品)、水軍節度使(スグン チョルトサ/水軍将 正三品)などの武官たちが着用しました。
すなわち韓国時代劇などで登場する、イラストのような格好をしている人物は、堂上官・正三品以上の司令官です。
平時には具軍服、文禄・慶長の役など有事の際は鎧(カボッ)を、文官は戒服(ユンボク)を着ました。
トンダリ
トンダリ(동달이)は軍服の一つ。朱紅色(赤橙)の身頃に赤の細袖が付いた服で、動きやすいように仕立てられました。
第一九代国王・粛宗(スクチョン/ 在位1674-1720)時代の資料に描かれているトンダリには橙、緑、藍色、赤紫、黒、桃色などで、袖の部分が紅色、袖口から肘まで紅色、袖口から袖付けまでが紅色の三種あります。
トンダリの語源は、他の(タルン,다른)色の袖を付けた服のようで、狭袖(ヒョプス)とも呼ばれていました。
戦服
トンダリの上に戦服(チョンボク,전복)を着ます。戦服は武官の官服で文武官が普段着にもしました。タポ(답호)とも言います。袖や衽(おくみ)がなく、丈が長く、両脇の下部と背縫いの腰から下が割れています。
戦服の色は赤紅、青、藍色のほか、記録によると緑や灰色などもあるようです。
戦帯
戦帯(チョンデ,전대)は、武官が軍服に締めた藍色の帯です。
兵符
朝廷から発行された軍司令官証である兵符(ピョンブ)を白や黄色の細長い布に取り付けて、戦帯に下げます。
戦笠
武官の帽子である戦笠(チョルリプ)をかぶります。
藤策
馬用の鞭である藤策(トゥンチェ)を右手に持ちます。
木靴
木靴(モクァ,목화)と呼ばれる革製の長靴を履きます。
武官軍服も役人の官服同様、様々な約束事があります。韓国時代劇に見られる具軍服も、文献との相違が大なり小なり見られ、現代風にアレンジしているようです。というのも毎度韓国時代劇を参考にして描いては、後から多大な修正を余儀なくされる、学習しない?私です。(笑)
参考文献
- 金英淑 (編著) 中村克哉 (訳)『韓国服飾文化事典
』(東方出版、2008年)
- 張淑煥(監修・著) 原田美佳 他(著・訳)『朝鮮王朝の衣装と装身具
』(淡交社、2007年)
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