解説
1.概要
朝鮮王朝において、婚礼は最も喜ばしいとされ、婚礼当日は一般庶民も宮中礼服を着ることが許されました。
新郎の場合、普段着の上に本来は官吏が着る藍色または濃い青の団領(タルリョン)をまとい、胸と背中に品階を表す胸背(ヒュンベ)を付けました。
また、角帯(カクテ)というベルトを締めます。
2.遮扇
新郎が顔を隠すために使った道具を遮扇(チャソン,차선)、または紗扇(サソン,사선)と言います。四角い布の左右に木の柄が付いています。新郎が式場に入る時に、両手で持って顔を隠しました。
3.朝鮮末期
朝鮮時代末期の高宗(コジョン)の代には、堂上官(正三品以上)と同じ双鶴胸背を付け、一品官が用いる犀帯(ソデ)を締め、紗帽(サモ)を被り、革靴の木靴(モクァ)を履きました。
4.メモ
当サイトは一応文禄・慶長の役サイトなので、朝鮮中期あたりの新郎をイメージしてイラストは青の団領にしました。
青の団領はふつう、堂下官(タンハグァン)従三品以下の官吏が着用します。そこでイラストは遮扇で見えなくなってしまいましたが、胸背は双鶴ではなく単鶴としました。
ベルトの角帯も本来は品階ごと細かく種類や文様が決まっていて、この場合、何を絞めていいのか正直よくわかりませんでした。文献にも特に書かれておらず、民間の儀礼の場合、細かい決まりは特にないのかもしれません。
参考文献
- 金英淑 (編著)・中村克哉 (訳)『韓国服飾文化事典』(東方出版、2008年)