解説
藤策(トゥンチェ,등채)は、朝鮮時代に武官が具軍服や鎧(カボッ)などの軍服を着用する際に右手に持つ馬用の鞭です。太い藤で作った弓形の長い棒に、普段は染めた鹿皮や絹の色紐をつけ、国家の喪には白衣を着て白紐を付けました。
策は現在、はかりごとの意で使われますが、漢和辞典[文献2]において第一の意として、むち、むちうつ、つえ、つえをつく、とあります。
『論語(雍也)』に「孟之反(もうしはん)伐(ほこ)らず。奔(はし)りて殿(でん)たり。将(まさ)に門に入らんとす。其の馬に策(むちう)つて曰く、敢えて後(おく)れたるに非ず。馬進まざるなり。」
韓国時代劇に出てくる武官は、馬に乗っていない時も藤策を手にしています。その形状からいっても朝鮮版采配といっても過言ではないのではないでしょうか。日本も朝鮮も将軍は、布の付いたステッキを持たないと様にならない?
参考文献
- 金英淑(編著)・中村克哉(訳)『韓国服飾文化事典』(東方出版、2008年)
- 小学館辞典編集部 『現代漢語例解辞典』(小学館、1996年)
- 平岡武夫『全釈漢文大系 第一巻 論語』(集英社、1980年)