書籍情報
加藤清正-朝鮮侵略の実像(歴史文化ライブラリー)
- 著者:北島万次
- 出版社:吉川弘文館 、2007年
- 概要:文禄・慶長の役における加藤清正の朝鮮での言動の詳細がわかる本。
紹介文
正直、熊本県民以外は加藤清正という武将はとっつきにくいのではないでしょうか。
一般に文禄・慶長の役がタブー視されていると言っても過言ではないので、本役主役とも言える清正も語りづらい面もあると思います。しかし語るに難しい人物こそ、考えてみるに値するのではないでしょうか。
著書の北島万次先生は文禄・慶長の役の専門家で、本書のプロローグにはこうあります。
「私は長年にわたって清正関係の史料を見てきたが、そこからは、忠君・武勇、あるいは無慈悲・兇暴とは別の清正像が見えてきた。清正の神経は繊細であり、人柄は几帳面。私はそのように感じた。それでは、秀吉の朝鮮侵略における清正の動向に焦点を絞って、その実像を語ることにしよう。」
それが顕著に現れているのが本書で紹介している、清正が朝鮮王子二人を捕らた時のエピソードでしょう。日本軍に寝返った咸鏡道(朝鮮東北)の役人が朝鮮王子二人を清正に突き出した際の、清正の対応は(誰のせいでこうなったかはさておき)意外なものでした。
朝鮮僧・松雲大師惟政(いせい)との交渉における度重なる駆け引きや、蔚山の戦いは大変詳細に描かれておりスリリングです。文禄・慶長の役全体を理解する助けにもなるかと思います。この本を通じてリアルな清正に是非出逢ってみてください。