顔面学
町内会のおじさん、ではありません。近年、この肖像こそが信玄で間違いないとの説が有力になってきました。この肖像は、信玄の弟信廉(のぶかど)が描いたもので、忠実に再現して素材にしました。
上記の説を知ったきっかけは、藤本正行『鎧をまとう人びと-合戦・甲冑・絵画の手びき』(吉川弘文館、2000年)。本の表紙は単なる素朴な武将の肖像――ではなかった意外性を含めて面白いです。
画才のあった信廉は、信玄だけでなく、父母の肖像も巧みに描いています。身内が肖像を描く武田家は意外にも温かい?
今まで武将の肖像に関して「誰が」描いたのかをほとんど意識してこなかったのですが、その武将がどういう顔なのか以上に、誰が描いたかの方が重要な気がしてきました。信玄のように身近に神絵師がいて、且つまた絵師の名と共にこんにちまで遺っている肖像は非常に好運なケースでしょうが。