愛の兜(直江兼続)解説
NHK大河ドラマ「天地人」の直江兼続の兜はイラストのように、「愛」の文字がついた奇抜な前立です。
由来は、軍神として当時武将たちが崇拝した愛宕権現、あるいは愛染明王の一字から取ったものと考えられますが、「愛民(あいみん)の精神」といった兼続の武将としての信条、世界観の表れとみる説もある[文献]そうです。
兼続は『論語』『文選』(もんぜん)など直江版を刊行。その中から思い出せる「愛」の文字は『論語』第一章・学而05「愛人」(人(民)を愛す)、『文選』生年不満百@古詩十九首に「愚者愛惜費」(愚者は費(ひ)を愛惜(あいせき)し)など。
私は、兼続が当時武将としては稀な読書人がゆえに、前立が鍬形とかムカデではなく、文字(漢字)に必然的なってたのではないかと想像します。これは江戸時代の印章に使用する文字からも立証でき、詳しくは左記リンク先をご参照ください。参考:上杉神社 溜塗碁石頭札胸取二枚胴具足
参考文献
小和田哲男 監修『ビジュアル 戦国1000人』(世界文化社、2009年)「直江兼続」156頁