解説
概要
チョクトゥリ(簇頭里,족두리)は、朝鮮時代に女性が儀式の際に礼服に合わせて被った冠の一つ。中国の元から伝えられたとされています。
黒絹六枚を繋いで丸く形作ったものに、綿を入れてあります。
種類
チョクトゥリは、飾りの付いていないミンチョクトゥリ、オヨムチョクトゥリなどの種類があります。
一八世紀の英祖(ヨンジョ)代に下された加髢(カチェ)禁止令が下り、鬘(かつら)が使えなくなったためにクミンチョクトゥリ(꾸민족두리)が流行しました。
クミンチョクトゥリのクミンとは「飾った」の意味で、朝鮮時代の宮中や士大夫の女性たちが礼式の際に用いました。庶民も婚礼の際には、緑円衫を着てクミンチョクトゥリを被りました。
飾り
クミンチョクトゥリはイラストのように、玉板に珊瑚、翡翠、真珠だどの宝石が各面に縫い付けてあります。
具体的には、五行説に基づいて頂部に五色の玉、正面に数珠状の五色房飾り、花や蝶、吉祥文字として壽(寿)福(福)康寧などを付けたりします。
非常に華やかな花冠に対して、黒絹の落ち着いた雰囲気の簇頭里(チョクトゥリ)です。
参考文献
- 金英淑(編著)・中村克哉(訳)『韓国服飾文化事典』(東方出版、2008年)