解説
1.概要
ティコジ(トォィッコジ,뒤꽂이)は、チョクチンモリ(쯕찐머리)の髷(まげ)の上に挿した簪(かんざし)です。
チョクチンモリは朝鮮王朝時代、既婚女性の一般的な髪型です。自分の髪をうなじで一つに束ね、リボンである短い唐只(テンギ,댕기)や簪(かんざし)のピニョで固定しました。
ピニョ、ティコジ共に簪ですが、前述の通り挿し方が違います。また簪の長さはきほん、ティコジの方がピニョより短いです。
ティコジは純粋な装飾品として、またピッチゲ (髪分け)やキュイゲ(耳かき)を兼ねたものがあります。
ティコジやピニョを付けた女性の全体像として、王室女性の服飾もご参考ください。
2.種類
当イラスト素材は、文献1にあった19世紀のティコジをもとに作製しました。
ピッチゲ ティコジ
ピッチゲ(빗치개)は、櫛の歯の合間に挟まった汚れをとったり、髪に分け目を入れる道具です。
翡翠キュイゲ ティコジ
キュイゲ(귀이개)は耳かきで、装飾性を帯びて簪となりました。
琺瑯(ほうろう)花蝶鳥 ティコジ
蜂、鳥、蜂が梅鞠に向かって飛ぶ姿はティコジに多様されたモチーフ。夫婦繁栄と子孫繁栄を願いました。
朝鮮王朝のオシャレは、ただ華やかだけでなく実用が伴う場合が多く、ティコジも例外ではないようです。
参考文献
- 張張淑煥(監修・著)・原田美佳 他(著・訳)『朝鮮王朝の衣装と装身具』(淡交社、2007年)
- 金英淑(編著)・中村克哉(訳)『韓国服飾文化事典』(東方出版、2008年)