解説
1.概要
トゥリムテンギ(トゥリム唐只,드림댕기)は、礼装用テンギ(垂れ帯)の一つ。
婚礼服のファロッ(華衣)や緑円衫着用時には、後テンギのトトゥラクテンギと対になる前テンギとして、両肩から前に垂らします。
髪に挿した簪(かんざし)であるピニョの両端に適当に巻いて両肩に垂らします。
幅5cmほどの濃い赤紫の布に金箔を施し、両端には真珠または珊瑚珠の装飾が施されました。他の礼服着用時にはトゥリムテンギのみ前に垂らしました。
2.詳細
イラストのトゥリムテンギは、帯の真ん中に鳳凰、両端に子宝恵まれるよう中国の子供二人を象った双童子のほか、花、壽(寿)福(福)などを配置しました。
両端の部分には、ラーメンの器に見られる雷紋(ヌェムン,뇌문)を施しました。雷紋は折れ曲がった線で雷を表現した文様で、他の吉祥紋と併せて用いることが多いです。
最両端には真珠の飾りを付けました。他のトゥリムテンギも概ねイラストような感じです。
3.メモ
トゥリムテンギの装飾の動植物や文字は、トトゥラクテンギと重なり、また省略しているものも多いです。トゥリムテンギ単独で見るとちょっと地味な印象ですが、これを前に垂らすことで華やかなおさげ頭に変身します。
参考文献
- 金英淑(編著)・中村克哉(訳)『韓国服飾文化事典』(東方出版、2008年)