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文禄・慶長の役

村上水軍とは 後編

4.海賊衆から警護衆へ

厳島の戦い

天正期の瀬戸内海周辺諸国地図
図1:天正期の瀬戸内海周辺諸国

弘治元年(1555)毛利元就毛利元就VS陶晴賢の厳島の戦いは、軍記物には村上水軍が毛利軍に加勢して勝利へと導いたと描かれています。

然しながら実際の所、村上水軍のいずれが参加したのかよくわかっていません。

来島は毛利に加勢しましたが、当主通康の率いる来島衆ではなく、甘崎に拠っていた村上氏のような末端の来島衆の加勢であることも否めず、能島・因島の村上氏に至っては史料上明らかにされていません。

主に船舶からの通行税を資金源としているので、戦国大名の戦争は彼らにとってどうでもいいものでした。然しながら、厳島の戦いから村上水軍は「海賊衆」から毛利氏の「警護衆」へと変貌を遂げていきます。

永禄十年(1570)に通康が死去。その翌年元就死去し、またこの年織田信長織田信長が将軍・足利義昭足利義昭を伴って入京。

「陸」が天下統一に向けて動き出し始め、「海」だけが我関せずの態度を貫き通せる時代は終焉に近づいていました。

水軍

5.木津川口海戦

天正四年(1576)二月、信長に追われた将軍・義昭を迎えた毛利輝元毛利輝元は、石山本願寺と結んで信長との対決を決意。小早川隆景小早川隆景は厳島の戦い同様、三島村上水軍に応援を要請しました。

能島村上氏当主の武吉(たけよし)と因島村上氏当主の吉充(よしみつ)は毛利氏に従いましたが、来島村上当主の来島通総来島通総は織田氏に従うことにしました。

天正四年(1576)七月の第一次木津川口海戦は、毛利(村上)水軍が織田の水軍を見事にかわし、本願寺に兵糧を運ぶことに大成功。

同六年十月の第二次木津川口海戦で毛利(村上)水軍は、九鬼嘉隆九鬼嘉隆が建造した甲鉄戦艦に撃破され、織田水軍に敗退しました。

三島村上氏は能島・因島が毛利に、来島が織田につきましたが、これが彼らの最後の海賊としての選択肢であり、最後の戦いになりました。

6.海賊の終焉

河野氏

四国全域に勢力を広げんとする長宗我部元親長宗我部元親は、河野氏の本拠地・伊予(現・愛媛県)は攻略できませんでした[註1]。

しかし、織田信長織田信長死後、秀吉が天下統一のため天正一三年(1585)八月に四国征伐に踏み切ると、河野通直(みちなお)はこれに降伏して領国を失い、通直は海賊たちの王・伊予河野氏の最後の当主となりました。

海賊禁止令

豊臣秀吉豊臣秀吉は、天正一六年(1588)七月に「海賊禁止令」を発布。これにより組織的な海賊衆は史上から姿を消しました。

能島村上氏

文禄元年(1592)に文禄の役が始まると、能島の村上武吉は小早川隆景小早川隆景の一手として釜山浦に着岸。関ヶ原の戦いでは西軍に加担した子の元吉が戦死。

武吉は元吉の子を連れて大島郡の屋代島に移り住み、慶長九年(1604)八月、海賊としての生涯を閉じ、能島村上氏はのちに三田尻に移り毛利の船手方となりました。

来島村上氏

来島通総来島通総は、天正十年(1582)に河野氏を離反して秀吉に属し、伊予国の大名に取り立てられました。

しかし文禄の役で水軍将として李舜臣李舜臣率いる朝鮮水軍に挑むも破れ、兄・通之が戦死。慶長の役で通総は、李舜臣率いる朝鮮水軍に再び挑みますが、鳴梁海峡にてこれまた撃破されて戦死。ここに海賊の時代の幕が完全に閉じられました。関ヶ原後、来島村上氏は豊後森藩主と存続しました。

因島村上氏

早くから毛利氏に仕えた因島村上氏は、関ヶ原後も能島村上氏と共に萩藩毛利氏に仕えました。

  

補註

元親は四国全域を制覇したと言われているが、拙サイトでは内田九州男,川岡勉,矢野達雄,寺内 浩 共著『愛媛県の歴史 (県史) 』(山川出版社、2010年)により河野氏の本拠地・伊予国は攻略できなたった説を採用した。

参考文献

金谷 匡人 『海賊たちの中世 (歴史文化ライブラリー) 』(吉川弘文館 、1998年)

宇田川 武久『戦国水軍の興亡 (平凡社新書) 』(平凡社 、2002年)

文禄・慶長の役

相関図

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